敬仁会について

理事長あいさつ

敬仁会は昭和61年に旧天王町の高齢者福祉を担う法人として、地元有志の篤志により設立され、以来、特別養護老人ホーム松恵苑(昭和62年)、老人保健施設くらかけの里(平成3年)、デイサービスセンターはまなす(平成6年)、在宅介護支援センターてんのう(平成7年)、ケアプランセンターてんのう(平成12年)、地域密着型特別養護老人ホーム聚恵苑(平成29年)を開設し、各々が、また互いに連携し、さらには協力医療機関である藤原記念病院とも連携し、地域の介護ニーズに応え、皆様に安心して利用して頂ける高齢者介護サービス事業所をめざし、様々な工夫と努力を続けてまいりました。私は、平成15年から藤原記念病院に勤務しており、併せて敬仁会の理事長職務代理(副理事長)と松恵苑の嘱託医を務めてまいりましたが、この間に、少子化・高齢化という地域社会の変化とともに、求められる高齢者施設像も大きく変わってきていると感じています。平成15年当初の松恵苑は、比較的状態の安定した高齢者が穏やかに暮らしている老人ホームでしたが、その後の経過で徐々に利用者の高齢化が進み、その結果、病状が不安定で慎重な観察を必要とする方や、痰の吸引や経管栄養などの医療行為を必要とする方、認知障害を有する方が増え、介護の内容と、求められる質が以前とは大きく変化しています。少子化や社会減に伴う就労人口の減少が、介護を担う人材の確保を難しくしている中で、今後も法人の各事業所が質の高い介護を提供し続けていくために、職員一人ひとりが意欲を持って学び、誇りを持って働き続けることができる環境作りが私の役目と考えております。
令和元年末から世界を席巻している新型コロナウィルス感染症の脅威は、いまだ収束の確たる目途が立っておらず、施設を利用されている皆様と、そのご家族様には、ご心配とともに様々な不自由をおかけしております。敬仁会の各施設におきましては、より一層の感染症対策に努めるとともに、安心安全と生活の質を両立させ、施設を利用される全ての皆様の「あなたらしく」を実現できるよう、職員一同努力を続けてまいります。
長引く新型コロナウィルス感染症への脅威は、社会の常識を変え、人々の価値観を大きく変える力を持っています。これまでできていたことができなくなる不幸の一方で、これまでできなかったことを可能にする機会と捉えることもできます。介護におけるデジタル化の推進やスマート化は、介護の担い手不足を補うのみならず、社会保障の持続可能性に繋がる介護予防や、健康寿命の延伸に新たな知見をもたらすと期待されますが、費用の問題や、何より『介護はできる限り人の手で』というこれまでの価値観の中では導入に躊躇いもありました。コロナで変容する新たな価値観の中で、どのような介護が望ましいか、職員はもとより、利用者やそのご家族様、地域の皆様と一緒に考える機会をもちたいと考えております。
長く存続する組織というのは、その地域に根差し、まちづくりの一翼を担い、過不足のない役割を果たす組織だと考えています。コロナ禍で顕在化し、前倒しになった課題に積極的に取組み、社会の変化に対応し、これまでも、これからも、地域の皆様と歩み続ける敬仁会でありたいと考えております。

理事長 藤原 慶正